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多くの人から欲しがられた寄木細工の駒。 存在感のある作品に仕上がっています。 |
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神田さんが将棋のイベントで箱根に出かけた時のこと。街を歩いていた神田さんは、土産物屋で、箱根の伝統工芸品である寄木細工と出会いました。 「私は常にどんな物でも駒にしてみようと考えているんです。そうすると、それまで興味のなかったものでも、面白そうに見えてしまうから不思議ですね。寄木細工はその一例です」 こうして生まれたのが、独特の模様を持つ寄木細工の駒でした。 始めは、駒の素材という視点から寄木細工に興味を持った神田さんでしたが、職人さんに話を聞くうちに、寄木細工そのものにも興味が湧いてきました。寄木細工の模様は工房によって違うという話や、近年の寄木細工という工芸の事情など。それは、ただの土産物として見て通り過ぎていたら、知ることのできなかった話でした。
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「欲しいと言われることが何より嬉しい」と神田さん。
寄木細工の駒は、雑誌の表紙も飾りました。
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「駒の素材として興味を持つことで、今まで知らなかったものが見えてくるのは楽しいですね。駒を通して、私の世界は広がっています」と神田さんは語ってくれました。 寄木細工で作った駒を目の当たりにした職人さんも、神田さんのチャレンジ精神に触発されたのか、自ら駒づくりに挑戦し、作品を店頭に飾っているとのこと。伝統工芸同士の新しい出会いに面白さを感じたのは職人さんも同じだったようです。
寄木細工の駒は展覧会に出すと、様々な方から「売ってほしい」との声があがるそうです。しかし神田さんは寄木細工に限らず、自分の作品は一切売らないと語ります。
「欲しいと言われることは、お金にするよりも価値がありますね」
作品一つ一つに込められた“想い”が伝わってくる言葉です。
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