古典絵画の基底材は、絹や紙など様々。絹の繊維を「きぬた打ち」(大理石の丸いもので巻いて、小槌でたたく)します。そうすると、組んである繊維が崩れていく。それで紙のように引っかからず、美しい線を引くことができるそう。
想像するだけで、とても難しい技法に感じますが、木村さんは、とてもなめらかに筆を運ばれています。 仏像彩色の仕事を専門にしている会社で10年ほど修行し、2011年に独立。東大寺の大仏の前に「常花」(木で彫った蓮の花)があり、1メートルほどの大きな幅のもので、修行時代にはその彩色の直しを手がけたそう。 独立してから、関西の大きなお寺所蔵の摩利支天像を手がけたことが印象深いと言います。像の丈が1mあるとても大きなもので作業は、摩利支天を寝かせて彩色するそうです。いのししの上に片足で乗って、弓を構えている、すばらしい像で、一人で手がけ、約1ヶ月かかったという大作。あまりにもすばらしい像なので、コストを度外視し、力を注いだ仕事になりました。
彩色は分業の中で、最後の仕事。つまり、リレーのアンカーの役割。修理の依頼の場合、全ての業務を含めての納期があるので、期限を守るために、徹夜もザラ。(木村さんの手元に来るときには既に、スケジュールが押していることも)でも、最後の業務なので、完成品を見届けることができる醍醐味は、大きな魅力の一つだと木村さん。
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