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2ヶ月かけて作成した、七宝焼きの駒。 |
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他にも、作品に取り入れた伝統文化がありました。それは七宝焼き。愛知県七宝町で盛んな伝統工芸です。金属製の下地の上に釉薬をかけて焼き上げるのですが、色とりどりで非常に美しいことから、主にブローチやペンダントなどのアクセサリーに使用されている工芸技法でした。 近所で七宝焼きの教室が開かれていると知った神田さんは、“これで駒を作ったらどうだろう?”と思い、教室へ通い始めました。しかし、七宝焼きの先生はアクセサリーを作ったことはあっても、将棋の駒を作ったことはありません。神田さんは七宝焼きの技術を学びながら、独自に駒を作り上げるしかありませんでした。 生徒さん達は皆、駒を作ろうと試行錯誤している神田さんに興味津々。文字を入れて焼き上げるのが難しく、悪戦苦闘している神田さんに、時折アドバイスをくれる先輩もいました。 「私の中には将棋の駒を作りたいという一つの思いしかないですから。でも、その思いが、他の人が持っている技術と合わせると面白い駒ができますね。反対に相手の方には新しい発見をしてもらえるみたいです」
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こちらも変わり駒。 その形態は、必ずしも駒の形に留まりません。 |
2ヶ月のあいだ教室に通った末に、七宝焼きの駒が完成しました。見守っていてくれた先生や生徒さん達も、完成したときにはさすがに驚いていた様子でした。 誰も思いつかなかった物を作り上げた神田さんですが、“七宝焼きそのものの技術はまだまだ未熟なので、時間があればもう一度作ってみたい”と更なる意欲に燃えているようです。
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