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「ここは日本?」と疑ってしまうほど、壮大なハーブガーデン。 |
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庭一面に広がるハーブのみずみずしい色と香り。約300坪にもなるこのハーブガーデン、もともとはご両親が桃を作っていた畑でした。
「はじめはコンテナで栽培していたんですよ。園芸店で小さなポットを購入して、それを移し変えたり、種から育てたり」
そうしてハーブを育てることに夢中になっているうちに、気がつけば個人のものとは思えない壮大なハーブガーデンになりました。見渡す限りのガーデン内には、実に150種類ものハーブが栽培されています。長い時間をかけてこつこつと広くしていったそう。
「土地に合った植え方や栽培方法も、文献をひも解きながら研究しています。例えば、湿度が多い気候に合わせるために、うねを高く盛り上げて植えて乾燥させるようにしたり、同じ種類のハーブを一株は植木鉢に、一株は直に地に植えて様子を見たり。ハーブも植える場所で耐性をつけないと成長しないのです。子育てと同じですね。適応力をつけるには、長い時間をかけないとね」
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自宅の壁には、お手製のフラワーリースがずらりと並んでいる。 |
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ハーブは個性もさまざまです。
「素直な子もいれば、言うことをなかなか聞かない子もいる。その性格を見極めて、どうやれば元気に育ってくれるのか考えるのも、楽しいですね」 高校の家庭科の教師だった頃、30年近くの教師生活で苦しかったのは、評価をつけるときでした。
「どの子にも個性があり、輝きはそれぞれ違います。昔、被服科の生徒に、修学旅行用の袋をパッチワークで作るように指導したことがあります。どれもデザインから製作まで、全部その子自身の手作りで、旅行中の評判も良く、みな思い出になったようでした。そんな作品に、評価は付けられないですよね」
長い時間をかけて、すこしずつ成長していくハーブガーデンを見ていると、本当に子育てのようです。
「ハーブの話をするとき、ついつい『この子は』『あの子は』と言ってしまうの。本当に子供みたいよ」
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